天地明察 (冲方丁)/角川書店


 
 
「お主、退屈でない勝負が望みか?」
 
碁打ちの名門・安井家に生まれた算哲は、過去の棋譜をなぞるばかりの御城碁にすっかり倦んでいた。
算哲は自らを渋川晴海と名乗り、碁を打つこと以上の熱意をもって算術を学びだす。ある日、春海はふとした
きっかけで、算術の天才・関孝和を知る。関の存在に刺激され、それまで以上に算術にのめりこむ春海。
時を同じくして、幕府上層部によってある国家プロジェクトがはじめられようとしていた。老中・酒井雅楽頭は
春海に目をつけ、計画の実行者に春海を任命する。その計画の内容とは、日本独自の太陰暦を作ること。
しかしそれは春海にとって挫折の日々のはじまりだった――
 
 
2010年の本屋大賞受賞作。
2012年の映画化も決定しており、これからますます話題になりそうですが、やっと読むことができました。
不勉強なことに、私はこの渋川晴海という人物はまったく知らなかったのですが、囲碁・算術・天文・暦など、
多方面にわたる活躍ぶりに「本当にこんな人物がいたんだ」と感心しきりでした。
実際の人物像はどうだったかわかりませんが、作者の冲方さんはまっすぐな青年として渋川春海を描き出し、
おかげで私たちが共感できる、親しみやすい主人公になっていました。
春海の苦闘ぶりは本書を読んでいただくのが一番ですが、すごく単純にいえば暦版のプロジェクトX(笑)。
地の文に田口トモロヲさんのナレーションをあてていただいて――というのは冗談ですが、ああいうタイプの
お話が好きな方はハマることうけあいです。
科学が前時代の旧弊を廃し、人間の生活を便利に、豊かにする話なので、主人公たちの行動を素直に応援することができます。
私自身、数学も科学もまったく苦手な人間なので、正直ここに書かれていることでよく理解できないこともあった
のですが(って、何時代の人間だ?・苦笑)、わからないところをある程度斜め読みしてもちゃんとついていけるのでだいじょうぶです★
主人公の他にも、水戸黄門だの、「和算」の開祖・関孝和だの、二代目将軍秀忠の実子で、幕府を影で支えた
保科正之だの、いろいろな人物の知られざる一面が描かれていて興味深かったです。
中でも、春海が憧れの存在である関に対してなかなか近付けないのがなんともじれったくて、そこの部分はもう
ある意味恋愛小説でした(笑)。
 

コメント

Angel

No title
恥ずかしながら、私も渋川春海なる人物を知りませんでした(^^;
でも、プロジェクトXは好きだったので、読んでみたいですね。
和算の開祖も興味深いし、史上名高い人物も出てきて面白そうです♪

KOR

No title
angelさん>時代小説ファンにはもともと有名な人たちなのかもしれませんが、この本で存在を大きく知られるようになったんだと思います。
現在冲方さんは水戸光圀を書いているようです。こちらにも渋川は登場しそうですね☆

香津葉

No title
なんか珍しいジャンルだなぁって思っちゃいました。
一見とっつきにくそうだけど、本屋大賞に選ばれるぐらいだし、KORさんの感想を読む限りでは楽しめそうですね。

KOR

No title
香津葉さん>一応時代小説というくくりになるんだと思います。
ふだんあまり読まないジャンルではありますが、これはライトノベルっぽくてわりと読みやすかったですね。

pynchon0

No title
キャッ...!!!嬉しい...!!!
この本、読みたかったのですョ。
何だか、面白そう♪

時間を作って、絶対、読もうと思います...;+:☆★※.;+*``♪

KOR

No title
pynchon0さん>私もずっと読みたかったのです(笑)。
今年の本屋大賞もノミネート作品が決まり、どれに決まるか注目ですね。
非公開コメント

プロフィール

kor2019

YAHOO!ブログから引っ越してきました。

月別アーカイブ