ミドリさんとカラクリ屋敷 (鈴木遥)/集英社


潮の香り漂う湘南の街に、屋根から電信柱の突き出た“不思議な家”が凜とそびえ立っている。
家主のお婆さんは、しゃきりとこう言う。
「建築が好き。この家はすべて自分で設計して建てた」
「電信柱を中央に建てるのが一番丈夫なつくり。地震や台風がきても倒れない」
「北海道で暮らした家には回転扉があって、忍者屋敷みたいな“からくり”がたくさんあった」
――なんだか謎が多すぎる。
私は、この家とお婆さんにすっかり興味をそそられ、そこに潜む秘密を探りたい一心で、いつしかこの家へと通いはじめるようになった‥‥‥。                       
(本文より抜粋)
 
新聞の書評を読み、「おっ」と思って借りた一冊。
ある建築をテーマにしたノンフィクションで、筆者の目線から“からくり屋敷”と家主の“ミドリさん”の来歴が語られます。
正直なところ建築については門外漢なので、書いてあることがいまいちうまくイメージができず、「どうせなら写真か図面を載せてくれればいいのに」と思いましたが、個人宅の上に共同住宅であるので仕方ないところでしょう。
一族そろって建築が好きというミドリさんと夫が作った“みどり荘”は、一見昔ながらの木造住宅のようで、その実
屋根から建具から庭から、こだわりまくって作られた建物。
なにしろ建築場所を選ぶにあたって、その土地にゴザを敷いて、朝から夕方まで実際の日当たりを調べたというから徹底しています。
自分たちの住居部分より店子が住む部屋の方にいいものを作って、「あんたたちはバカだ」と知人にいわれても
けろっとしている、なんて話を聞くと、店子たちが出て行きたがらないという話も肯けました。
しかもこの家には隠し扉や隠し部屋など、「おいおい、リアル中村青司だよ」という仕掛けがあるというから驚かされます。
「なにかあったときのために、逃げ道がひとつしかない家はだめだ」という、北海道開拓移民であり、戦争を生き抜いた世代の人間としての建築哲学には感心させられますが、実際には一度も使われたことがない、という著者のつっこみにも笑ってしまいました。
そんなミドリさんのルーツが新潟にあったという話も地元民としておもしろかったですし、各時代のエピソードも、
ミドリさんがいきいきと話している様子が聴こえてくるようで楽しかったです。

コメント

Angel

No title
建築に詳しくはないけれど、建物を見るのは好きです。
こんな家があったら、ぜひともお話を聴いてみたくなりますね~(≧▽≦)
ミドリさんのルーツを思えば、KORさんがこの本と出会ったのは必然だったのかも♪

KOR

No title
aangelさん>いい建物は人をひきつける力がありますよね。
おもしろい家に違わず、持ち主のミドリさんもおもしろい人物でした^^
読むべくして読んだ1冊だったかもしれません☆

タカ

No title
リアル中村青司ですか!興味津々です(^o^)カラクリ屋敷なんて、ぜひ見てみたいです♪
しかも新潟がルーツなんて!建物は好きなんで読んでみたいんですが、文字からイメージする力が弱いんで、図がないと理解できなかったりして(笑)

KOR

No title
タカさん>個人宅なので無理なことですが、こういう建物はぜひ実物を見てみたいですよね。
読んでる途中、「いまここで殺人が起きたら『館』シリーズだな」と思ってました(笑)。
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