漱石書簡集 (三好行雄編)/岩波文庫


 
 
漱石の手紙を読むと、この類まれな人物のあらゆる心の動きがその温もりとともに伝わってくるように感じる。
友人の正岡子規、妻の鏡子、弟子の寺田寅彦・小宮豊隆などに宛てた手紙158通。漱石を知るための基本
資料であるばかりか、それ自身が見事な作品なのだ。
(内容紹介より)
 
森見登美彦さんが自著「恋文の技術」のあとがきで、夏目漱石書簡集を絶賛されていて、こちらもそういう目線(笑)で読みましたが、なるほど、楽しめました。
ただ、ほとんどの手紙が文語体で書かれているため、読むのにとても往生。
ありえない話ですが、森見さんが現代訳をしてくれたらいいのに、なんて思ってしまいました。
いろんな人への手紙が収録されているのですが、正岡子規宛てのものは、ときにふざけてみせたり、ときに激しくぶつかったり、友人ならではの文章。切磋琢磨しあうふたりの関係がうかがえて「いいなぁ」と思いました。
鏡子宛ての手紙は、妻の容態や幼子たちを案じる優しさが感じられる反面、わがままというか、俺さまなところも見えて、「こちらは忙しいから手紙をあまり書けないが、おまえはもっと手紙をよこしなさい」、「『それやこれやで(手紙を)書けませんでした』と書いてあるが、『それやこれや』ってなんだ」とか、「こどもか!」とつっこみたくなりました(笑)。
こどもたちの養育も気にかけていたようですが、「手紙によると筆(長女)は何か大変な強情ばりの容子だ。男子は多少強情がなくてはいかんが、女がむやみに強情ではこまる。またこれを直すにむやみに押入に入れたりしてはいかんよ。」というこの文章は、そのまま森見さんの本に書かれていてもよさそうでおかしかったです。
小説家になり、もらったファンレターのことについて、「驚ろいたのはその長い事で念のため尺を計って見たら
八畳の座敷を竪にぶっこぬいて六畳の座敷を優に横断したのは長いものだ。」と書かれているのを読むと、
いったいなにをやっているのかと(笑)。
文豪というよりお茶目なおじさんにしか思えなくて、読んだ人の中の漱石ラブ度が増すこと請け合いです(笑)。
もちろん、小説家としてまじめに決意を語るところもあり、職業や立場、生きている時代は違えど、なにか勇気をもらえる文章でよかったです。

コメント

タカ

No title
「恋文の技術」は、なかなか借りられずに読めていませんが、この本は興味津々です♪
私の大好きな寅彦さんへの手紙も載っているんですね(^o^)
本当に森見さん、訳してくれないかしら?そしたら、二倍楽しいのに(笑)

KOR

No title
タカさん>寺田寅彦さんがお好きなんですね。はずかしながら私には未読の作家さんです。
内容のおかしみを損なわず文語体から口語体に移し替えられるのは森見さんが適任という感じなのですが、残念ながら体調不良で休養中とのことで心配ですね。

Angel

No title
「ベッジ・パードン」を観てから、漱石の人となりに興味を持っています。
鏡子夫人への手紙は、抜粋してくださった部分だけでもくすっとしてしまいますね。
気難しそうな文豪のイメージが、ちょっと和らぎました(*^-^*)

KOR

No title
angelさん>ロンドン時代は神経衰弱にかかってたいへんだったと聞きますが、そういう弱みは手紙からはうかがえないので、ある意味気楽に読むことができます。そうそう、なかなかキュートな人みたいですよ、漱石先生(笑)。

若旦那(楽道)

No title
へぇ~。ちょっと読んでみたくなりました。
でも・・文語体なんですね。。難しそう。。

KOR

No title
若旦那さん>若旦那さんならたぶんさらりと読み下せるんじゃないかと思いますよ。気になる人の手紙だけつまみ読みしてもおもしろい感じです。
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