僕は、そして僕たちはどう生きるか (梨木香歩)/理論社



コペル君14歳、国籍=日本人、種=ヒト
春の朝、土壌生物を調べに行った近所の公園で、叔父のノボちゃんにばったり会った。そこから思いもよらぬ
一日がはじまり‥‥。少年の日の感情と思考を、清々しい空気の中に描く、新・青春小説。
(出版社内容紹介より)

読み終わってからタイトルや表紙を見て、「そうか、教育的な本だったんだな」と気付きましたが、著者がとりあげたテーマ(環境問題、徴兵制度、ジェンダー、等々)が物語として昇華されていたので、あまり気負わずに読むことができました。
基本的には、コペル君が友人の「ユージン」に会いに行く1日を描いたお話。
ユージンは訳あって大屋敷に一人暮らしをしており、学校にあまり来ていない状態。
コペルはユージンとコミュニケーションはとれているものの、どうしてそうなったのかは把握していなかったのですが、叔父のノボちゃんやユージンの従姉のショウコとの関わりによって、その理由が明らかになっていきます。
当然そこは重い内容になるのですが、「コペルがショウコに泣かされた話」とか「葉っぱごはんを作る話」、「オーストラリア人とたき火をする話」などが途中で入ってくるのが実に梨木さんぽいところでした。
こういう日常の中の冒険みたいなエピソードの使い方がうまいんですよね。
梨木さんが言いたかったことは、冒頭の一文、「群れが大きく激しく動く/その一瞬前にも/自分を保っているために」に表れていると思います。
人間である以上、社会という「群れ」から完全に離れて生きていくことはできない。
でも「群れ」がおかしな方向に進み始めた時に、自分を保つためにどうすべきか。
ある登場人物がいう、「泣いたら、だめだ。考え続けられなくなるから」、これはいいことばでした。
それから「謙虚さ」、普通「強さ」が必要、といいそうなところでこのことばが出てくるところが、ありきたりじゃなくて
はっとさせられました。

コメント

Angel

No title
もうすっかり大人になってしまっている私ですが・・・
まだまだ、教育的な本が必要だと感じています(笑)
どんな状況になっても、自分を保つということ。
とても大切だけれど、なかなか難しくもありますよね。
「謙虚さ」はいちばん失いがちなので、気をつけたいと思います。

KOR

No title
angelさん>私もです(笑)。
「どんな状況でも、自分だけはだいじょうぶ」と思うことが、実は危ないのだと改めて思いました。今年のテーマは謙虚さでいこうかなと思っています。

タカ

No title
「君たちはどう生きるか」という本から、ヒントを得て書かれた作品でしょうか。コペル君が出てきますし。
梨木さんもご無沙汰な作家さんです。こういう作品も書かれるんですね。

KOR

No title
タカさん>私はその本を読んだことがないのですけど、そう指摘されていたレビュアーさんもいらっしゃったので、きっとそうなんだろうと思います。軍国主義当時の出版事情に対する言及もありましたしね。私も梨木さんの本はひさしぶりに読みました。

金平糖

No title
私も一応はじめまして(*^^*)ご訪問&コメ、ありがとうございました♪
共通のブロ友さんが何人かいらっしゃるので、お見かけしたことがあるのかもしれませんね。これを機に、よろしくお願いしますm(- -)m

本書はとても考えさせる作品でした。ヤングアダルトだけではなく、大人にも是非読んで欲しい一冊です。
トラバさせてくださいませ(*^^*)

KOR

No title
金平糖さん>コメント&トラバありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
予備知識なしに作者名とタイトルだけで選んだので、もしかしてエッセイかもと思っていたのですが(笑)、とても考えさせられる内容でした。

金平糖

No title
底本の「君たちはどう生きるか」を読み、感銘を受けました。素晴らしい本に出会わせてくれた梨木さんに感謝です。時代が変わっても人間として大切なことは不変なのだと改めて考えさせられました。
そちらの記事もトラバさせてくださいね(*^^*)

KOR

No title
金平糖さん>読まれたんですね! さっそく拝見させていただきます。
トラバありがとうございます。
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