Junk (三羽省吾)/双葉社


 
俺には悪癖がある。癖と呼ぶにはあまりにも危険な行為のそれは、実は街中の至る所で行われている。掏摸。
犯罪行為と向き合う男の姿を描く「指」。
ひょんなことから刑務所前の飯屋を切り盛りすることになる俺。味が評判を呼び人気店になる。だが、それを苦々しい思いでみる者がいた。その者の思惑とは‥‥‥「飯」。
中篇2編収録。小悪党たちの生態を描く。
(Amazonの内容紹介より)
 
はじめて読む作家さん。
べるさんのブログで紹介されていて、おもしろそうだったのでさっそく図書館で検索したところ、予約0(^^;
おかげですぐに読むことができました。
「指」の主人公はスリ。
盗もうとする気配を「盗気」といったり、「スリは職業ではなく生き方だ」と宣言するところは笑止という感じでしたが、登場するスリたちの職人的な気質や芸術的な技術の描写はおもしろく読めました。
技術を極めることで盗みをやめられるかもしれない、という主人公の考え方を「剣豪のようだね」と評するところはなかなかうまい表現だなと感心。
その一方、生きるためのやむをえない手段としての犯罪行為ではないことと、盗まれた人の視点がないことは
残念でした。
「飯」の主人公はフリーター。
刑務所の前の店で出所する人間を見張るだけの、怪しいけれども楽な仕事のはずが、店の主人が倒れたことで、急遽店を切り盛りすることになります。
がんばってもバイト代は上がらないし、そもそも店がつぶれても構わない立場の人間なのに、店主や常連客の
思いを知って、不本意ながら店を繁盛させてしまう主人公。
ある意味損な性分なのでしょうけど、そこに仕事があればベストを尽くさずにはいられない気持ち、よくわかります。共産主義国家だったらきっと理想的な国民になれるタイプ(笑)。
とはいえ、「こんなにお客さんが来ては、見張りがきちんとできないのでは?」という懸念通り、まったく見張れてなかったというオチには笑いました。
探していた人物と依頼主の関係、ひけめを感じている同棲相手との将来、どちらもすっきり解決して爽快な読後感でした。

コメント

香津葉

No title
おおぉぉ、おもしろそうだね。
なんか、対照的な2篇なのかな。
「スリ」の舞台をキャラメルボックスで観たんだけど、犯罪だとわかっていてもその手口の鮮やかさにかっこよさを覚えてしまった記憶が^^;
本だどどうなのかな。

KOR

No title
香津葉さん>表紙とかは残念な感じなんですけど(^^;内容は良かったですよ。
ショーとして見せるスリの技術は鮮やかで見惚れてしまいますよね^^
本だと犯罪性がちょっと浮かび上がってしまうところがあるような気がします。

べる

No title
そうそう、表紙はチョットね・・・^^;でも、『飯』は良かったでしょ?楽しんでいただけったみたいで嬉しいです^^いかにもB級グルメっていうか、亜流グルメな感じがかえって美味しそうでした。ラストのオチも痛快で良かったですよね^^

KOR

No title
べるさん>べるさんの予想通り、おもしろかったです。さすが本ソムリエ(笑)。高級グルメよりも味がイメージしやすかったですね。
トラバありがとうございます。

タカ

No title
私も読みたい!って気持ちが高まってきました。特に「飯」の方♪
図書館が開いたら、借りてみようかな(^-^)

KOR

No title
タカさん>タカさんもきっと気に入ると思いますよ^^
おまけにすぐ予約できると思います(笑)。

Angel

No title
恥ずかしながら、お名前を初めて目にする作家さん(^^;
掏摸って生活のためというより、スリルを楽しむゲームのようなイメージです。
何にしろ、犯罪行為であることは間違いないですが。
お話としては、「飯」の方により興味をそそられますね♪

KOR

No title
angelさん>この物語の主人公もそういうタイプのスリでした。
ばれたら破滅だとわかっていてもやめられない状態なんですよね。
「飯」の方は主人公に素直に感情移入できておもしろかったですよ^^
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