リカーシブル (米澤穂信)/新潮社


 
 
この町はどこかおかしい
 
父が失踪し、母の故郷に引越してきたハルカとサトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る。血の繋がらない姉弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて地方都市のミステリーに迫る。
(Amazon内容紹介より抜粋)
 
米澤さんらしいほろ苦の作品ですが、後味が悪くなかったのは主人公の性格設定のおかげでしょう。
家族を捨てた父に恨み言をいうでもなく、あるときから態度を豹変させる母にも(皮肉交じりにではありますが)
一定の理解を示し、鬱陶しいだけの存在であるはずの弟の危機にも駆けつける。
不平不満をまきちらしてもいい年頃なのに、自分の責任ではない辛い境遇を受け入れ、好きになれない町やクラスともなんとか折り合おうとしているところが、ふつうの大人よりもずっと大人でした。
読みながら、どこか映画の『シックスセンス』をイメージしていたので、予知能力に覚醒した弟が町の問題を解決して家族みんなで幸せに暮らす、なんて甘い結末を想像してしまったのですが、もちろん米澤さんに限ってそんな展開にはならず、「ああ、そういうことだったのか」という結論まで一気に読み進められました。
そして読み終えてみると、何気ない描写が伏線だったり、登場人物のセリフやしぐさがちがう意味合いを持って
読めたりして、さすがにうまいなぁと思わされました。
主人公の抱える問題はなにひとつ解決していないですけれど、「わたしは生きていかなくてはならないし、何が
どうであれ、結局たぶん生きるってたいへんなこと」という考え方をするこの子である限り、きっとだいじょうぶと
信じたくなるお話でした。

コメント

Angel

No title
相変わらずネタバレすることなく、作品の魅力を伝えるレビューですね♪
主人公が好ましいと、それだけで読みたくなります( ´ ▽ ` )ノ

KOR

No title
angelさん>ありがとうございます☆
賢すぎて幸せになりにくい子かもしれませんが、開き直りともいえる態度に好感を持ちました(笑)。

べる

No title
敵ばかりの土地で孤軍奮闘する主人公がなんだか可哀想でした。こういう環境に置かれたら、強くならざるを得ないんでしょうね・・・。ハルカにもサトルにも、強く生きて行って欲しいと願います。まぁ、姉弟が力を合せれば大丈夫かな。

KOR

No title
べるさん>姉弟じゃなくなってはじめて姉弟らしくなったのがおもしろかったです。
いつか母のしたことを弟が知ったとしても、姉がいてくれたことがきっと救いになるでしょうね。
トラバありがとうございました。
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