村上海賊の娘 上・下 (和田竜)/新潮社



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あらすじ:和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大阪本願寺。海路からの支援を乞われた毛利家は「海賊王」こと
村上武吉を頼ろうとした。その娘、景(きょう)は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁のもらい手のない悍婦で醜女
だった‥‥。                  
(本帯より抜粋)
 
2014年本屋大賞受賞作。
史実である木津川の戦い(第一次)に基づく歴史小説です。
信長が鉄甲船で毛利水軍を撃破した第二次の方は知っていましたが、こちらの方ははじめて知りました。
主人公は女海賊の景。
わざわざ醜女と設定されていますが、これには「当時の日本人の美的基準からすれば醜女だが、実は西洋的
(つまり現代的)基準からすれば美人」という意味。
海賊の村上家でも随一の武辺者ですが、知恵者の父・武吉とはちがい、率直にいっておバカ。
「あなたのことを美人扱いしてくれるところがありますよ」とそそのかされ、ほいほいと戦場に行くことになります。
いくさの場面がつづくこの小説にとっては、景のこのコミカルさが救いになっているのは事実。
敵方の泉州の海賊たちと出会い、目論見どおりにちやほやされるところはコント的でおもしろかったです。
その景に想いを寄せるのが、眞鍋七五三兵衛(まなべ・しめのひょうえ)。
木津川の戦いの織田方の大将となる人物で、景以上の武芸の持ち主であり、もうひとりの主人公というべき
存在。
抜けたところもありますが、英雄的な人物で、景のあまさを厳しく指摘してきます。
うちひしがれた景は生まれ故郷に戻りますが、理由あって再び戦場へと舞い戻り、その姿を見送った父の武吉
は「鬼手が放たれた以上、自分の出番はない」といいきり、物語はクライマックスへと突入。
合戦のシーンは映像がイメージしやすく、臨場感たっぷり。
登場人物が死んでいくのはせつないものの、海賊同士の戦いということで陽気に描かれているのが救い。
(同じ本屋大賞にノミネートされていた『とっぴんぱらりの風太郎』が、忍者同士の戦いのため、どんどん陰惨になっていったのとちょうど好対照。)
戦以前の駆け引きや、戦略的観点からの説明など、歴史小説好きにはたまらない描写もあり、さすが本屋大賞と納得の作品でした。

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