我が家のヒミツ (奥田英朗)/集英社




あらすじ:職場の歯科医に大ファンのピアニストが治療にやってきて‥‥。(「虫歯とピアニスト」)
ライバルとの長年の昇進レースに敗れ、これからの人生に途方に暮れる会社員。(「正雄の秋」)
自分の実の父親に会いに行く女子高生。その相手は思いもかけない有名人で‥‥。(「アンナの十二月」)
母が亡くなり憔悴しきった父。力を貸してくれたのは意外な人物だった。(「手紙に乗せて」)
隣に引っ越してきた夫婦が謎めいていて、気になって仕方ない妊婦は‥‥。(「妊婦と隣人」)
妻が市議会議員選挙に立候補すると言い出した。(「妻と選挙」)
どこにでもいる平凡な家族のもとに訪れる、かけがえのない瞬間を描いた『家日和』『我が家の問題』に続く
シリーズ最新作。

前作『我が家の問題』は、収録作品がすべてお気に入りという、自分にとっては奇跡のような作品でした。
今回の『我が家のヒミツ』は、さすがにそこまでではなかったものの、同じ世界観の物語であり、あいかわらず
おもしろく読みました。
登場人物たちは、どこにでもいる普通の人々。
その言動に共感はできなくても「自分もこういうところあるなぁ」と理解することができます。
一番好きだったのは「虫歯とピアニスト」。
一見頼りない夫が、妻のために啖呵を切るところは、胸がすーっとしましたし、泣けました。
嫌なライバルにもいいところがあり、応援してくれる人がいる、という認めたくないけど当たり前のことに気づく
「正雄の秋」もいいお話。
有名人の父親ができて浮かれる「アンナの十二月」も、読んでる分にはちょっといやな主人公ですが、自分が
もしその立場だったらやっぱりそうなるだろうなと思います。
近しい人の死を経験して、いままでの自分がどれだけ他の人間に配慮をしてなかったのかがわかる「手紙に
乗せて」。これも経験者にはよくわかる話でした。
「妊婦と隣人」、主人公のやりすぎとも思える行動は首をかしげたくなりますけど、正直、自分にもこういう詮索
しいなところがあるなぁと思ったり。
シリーズを通しての登場する家族の物語、「妻と選挙」、主人公の作家としての人気が落ちてきている描写は
ちょっと悲しかったですが、夫婦仲はあいかわらずよくて、主人公のスピーチと最後の妻のセリフにはほっこり
させられました。

コメント

べる

No title
『虫歯~』のラスト、良かったですよね。実の母親よりも、はっきりと自分の妻を選んだ夫の行動にスカッとしました。そうできない夫が、大抵夫婦の不協和音を呼ぶと思うんで・・・。隣人のやつは、さすがに行動が偏執狂的だな、とちょっと怖くなりました。確かに隣人の言動は気になるものだと思いますが・・・。しかし、ああいうラストに繋がるとは思いませんでしたね。もっと穏便な結末になるかと思いきや。意外性は一番あったかもしれませんね。

KOR

No title
> belarbreさん
こういうふうにはっきりいえる男性はかっこいいなと思いますね。自分だったら‥‥って、独身でした(笑)。隣人の正体は私も意外でした。ちょっと毛色のちがう作品でしたね。
非公開コメント

プロフィール

kor2019

YAHOO!ブログから引っ越してきました。

月別アーカイブ