荻原 浩


映画「明日の記憶」がおもしろかったので、原作者の本を読んでみました。

「神様からひと言」

クレーマーに謝りにいく話は「風に舞いあがるビニールシート」で読んだばかりですが、これはもう一歩進んで返り討ちにする話。

ここにはビジネス書に登場するような「意見をいってくださるお客様」はほとんどおらず、あわよくば企業から金をゆすってやろうとする心意気の持ち主がずらりと並んでおります。

悪質なクレーマーを知恵とハッタリでつぎつぎと撃退していく描写は痛快。

とはいえ、某菓子屋の不祥事が耳新しい今日、「そちら側ばかり書いてしまうのはどんなもんだろう」と思っていたら、最後ちゃんと戦うべき相手と戦ってくれたので良し、でした。

それにしても「たまちゃんラーメン」という会社、あそこの会社がモデルなのかしらん‥‥。気になるところです。

「ハードボイルド・エッグ」

フィリップ・マーロウに憧れる主人公のハードボイルドごっこはうまい(笑)。

ただ正直、ちょっと冗長な感じはします。

メインの事件が起こるとさすがに引き込まれるのですが、そこにいくまでの構成が良かったら「まほろ駅前多田便利軒」ぐらいおもしろかったんじゃないかと、そこは惜しまれます。

コメント

newcastle90713

No title
本年もガンガン読んでください。 こちら海外文学がんばります。とはいえ読み始めたトルストイがしぶとく終わらない。上下2巻中、下巻の半分あたり。やめるには惜しいが、特に面白いわけでもなく。やはりドストエフスキの方が体質に合っているようで。

KOR

No title
それはもう、つらくとも読むしかないっすね。感想聞かせてください。
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