ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン (ダーグ・ソールスター著、村上春樹訳)/中央公論新社




あらすじ:ビョーン・ハンセンは妻子と官僚としてのキャリアを捨て、愛人の住む地方都市に移る。彼はそこで市の収入役のポストと演劇協会のコミュニティを得るが、ほどなく愛人とは別れてしまう。彼の胸にはあるプランが
浮かび上がってくるが、そんなとき大きく成長した息子が彼のもとを訪れてくる――

『村上春樹 翻訳ほとんど全仕事』の中で紹介されていた1冊。
ノルウェーの空港で偶然見つけ、あまりのおもしろさに自身のポリシー(なるべく重訳はしない、この場合はノル
ウェイ語の英訳版からの和訳)を曲げて翻訳したといいますから、読まないわけにはいきません。
で、これが当然というか、なかなかのオリジナリティ。
主人公のビョーンは、高い知性と社会への適応力を持ちながら、きわめて身勝手な人間で、その内心の冷たさ
たるや、もうユニークというしかありません。
妻子を捨てて愛人をとったわりに、愛人の容色が衰えてくるとあっさり心が離れたり、頼ってきた息子を歓迎し
ながらも、息子の孤独に対してまったく手助けしなかったり。
ただ不人情を自覚しているので、表面はちゃんととりつくろうし、観察眼が冷静な分、人間の滑稽さが浮かび
あがってきて、「自分にもそういうところがあるな‥‥」という気分にさせられます。
ビョーンが最後にやり出したことといったら、「いったい何の得が???」と思うのですけど、バカなアイディア
を(思いつくだけでなく)実行しちゃうところは、ちょっと共感できるような気がしました。
なじみのないノルウェー語の固有名詞が呑み込みにくいのですが、文章そのものは読みやすかったです。
ちなみにタイトルは作者にとって「11番目の小説で、18番目の著書」という意味だそうで、やっぱり作者本人も
変わってるみたいです(笑)。


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