君が夏を走らせる (瀬尾まいこ)/新潮社




あらすじ:夏休みの間、1歳児を預かってほしい――。先輩夫婦に頼みこまれた高校生の大田は、やむをえず
母親が入院から帰ってくるまでの間、彼らの娘・鈴香の面倒を見ることになる。だが、何をしても泣き止まない
鈴香に初日からお手上げ状態の大田。日が経つにつれ少しずつ慣れてくるが、まったく食事を取ろうとしない
鈴香に対して、大田は一計を案じる‥‥。

同作者の小説、「あと少し、もう少し」の主人公のひとり、大田のスピンオフ的作品。
駅伝ものかと思いきや、まさかの育児小説(笑)。
ネタバレですが、こどもがケガをするとか、具合が悪くなるとか、目を離したスキにどこかにいってしまうとか、
好きな同級生が手伝いにくるとか、母親が帰れなくなるとか、そういうドラマティックな出来事は一切起こりません。
起こるのは、寝てくれない、食べてくれない、いうことを聞いてくれない、という育児あるあるな出来事。
一見すると「それ、おもしろいの?」と思ってしまいますが、育児経験のない不良高校生の大田が、まじめに
鈴香の気持ちを考えて、「これをしてあげよう」、「あれを買ってあげよう」と、喜ぶ顔見たさにがんばるところが
とても好感が持てました。
話の中で「こどもは3歳まで出来事は覚えていない」という文章があって、これだけ仲良くなったのにちょっと
つらいなと思いましたが、でも中学の駅伝の経験が大田の中で財産になっているように、1か月の育児経験も
人生の宝物になっていくのでしょう。
思いがけず再会した中学時代の恩師の上原、他の親御さんの前で身分をばらすようなこともいわないし、後輩
とのレースに刺激を受けて、「中学の練習、見に行こうか」という大田に、「太田君が走るのは、今まで通ってきた場所じゃなくて、これから先にある」と、突き放しつつ激励しているところなんか、意外といい教師ぶりでした。

コメント

べる

No title
絶対KORさんお好きな話だと思いましたよ。太田君が予想外に真面目に育児に取り組むところが読んでいてとっても微笑ましかったです。
鈴香ちゃん可愛かったですよね~~~~!
上原先生、意外と空気読むんだなーとちょっと驚きました。抜けてるようで、実はとってもいい先生ですよね。

KOR

No title
> べるさん
いい本を紹介していただきました^^。多少口は悪くても、いつでも何度でも鈴香の要望に付き合う大田、理想的な母親っぷりでしたね(笑)。鈴香のかわいさ、上原先生の教育者ぶり、おっしゃるとおりとても印象的でした。TBありがとうございます。

きまりと

No title
鈴香ちゃんはまるで入園当初の子どもそのものですね。
まして1歳児となれば幼すぎてなおのこと、、と大田くんの育児の心配というより保育目線で記事を読みました。
どんなり振り回されたことでしょう。でもほっこり温かくなりそうなお話ですね!

KOR

No title
> きまりとさん
育児や保育の経験のある方には「あるある」「わかるわかる」がいっぱい詰まった本だと思います。暖かくて、ちょっと切ない読後感でした。
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