満月の泥枕 (道尾秀介)/毎日新聞出版




あらすじ:姪の汐子とふたりぐらしの二美男は、定職もなく、安アパートの家賃の支払いさえ滞る日々を過ごしている。ある祭りの夜、二美男は事件らしき場面に遭遇するが、巡査の剛ノ宮は酔っ払いが見た夢の話と相手にしない。だが、汐子の同級生の猛流が、「殺されたのは自分の祖父かもしれない」といって、二美男にある相談を持ちかける。二美男はアパートの住人を巻き込んで、猛流の立てた計画に乗るのだが――。

著者インタビューによると、道尾さんは主人公の二美男が今までの主人公の中で一番好きなのだそうで、
「1冊の本に、長編2冊分のおもしろさを詰め込んだ自信作」とおっしゃられているそうです。
読んだ人は「長編2冊分」という意味がよくわかると思うのですが、この本にはクライマックスといえるシーンが
2か所あって、「ここで終わりかな?」と思ったらもう一盛り上がりあるという構成になっています。
特に最初のクライマックスのシーンは、もし映像化したらすごく迫力があっておもしろそうでした。
ただ、ひとやま目からふたやま目に行くまでの間、「実は○○でした」という驚きが何度かあるので、びっくりする
反面、読者として気持ちが追いつかないという面もあり。(私だけかな?^^;)
伏線の回収は「こんなのも?」というぐらい気持ちよく、ミステリーファンの期待を裏切りません。
もちろんトリックだけではなく、それぞれ家族を喪失した二三男と汐子のふたりの物語、変わり者揃いのアパートの住人や猛流の家族、街の住人たちのそれぞれの悲しみが丁寧に描かれています。
とりかえしのつかない出来事があって、どうしても自分を許すことができなくても、同じ悲しみを持った人に対して
なら、「あなたは悪くない」「幸せになってもいい」といえる、そんな優しさが描かれている作品でした。

コメント

べる

No title
ほんと、二部構成って感じでしたね。池の死体の顛末にはちょっと拍子抜けしたところもあったのですけど、そこまらまた話がガラリと変わって盛り上がってよかったです。二美男と汐子の関係がとても良かったです。汐子を引き取らなかったら、二美男がどうなっていたかと思うと・・・ぞっとします。汐子が結婚するまで、二人には一緒にいて欲しいですね。

KOR

No title
> べるさん
TBありがとうございます。死体の謎が二転三転してハードルが上がってたので「あれ?」という感じはありましたね^^; 小説の最後の場面のあと、汐子がどちらの決断を下したのか気になりますが、べるさんのいうような結末を願いたいです。
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