夜空に泳ぐチョコレートグラミー (町田そのこ)/新潮社

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初読みの作家さん。
とある田舎町を舞台にした5編からなる短編集で、各話の登場人物が少しずつリンクしています。どの話にも海洋生物が隠れテーマのように出てくるのも特徴で、ちなみに作者インタビューによれば、本屋大賞にノミネートされている「52ヘルツのクジラたち」のネタも、本書の取材中に見つけたとのことでした。
「カメルーンの青い魚」は昔自分を置いて出て行った男と再会してしまう話。主人公と、同居している男と、昔の男の関係に「やられた!」と思わされました。
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」は中学校が舞台。祖母が迎えにくる同級生がいたら、そりゃ浮くよな…と思いつつ、その祖母の無償の愛情と、懸命に生きようとする主人公たちの姿にほろりとさせられます。
「波間に浮かぶイエロー」は、昔好きだといってくれた男に会いに行ったら男でなくなっていた、という、そこだけ聞くとコントのような話なのですが(笑)最後に明かされる真実にびっくり。この本の中で一番好きな作品。
「溺れるスイミー」は、プロポーズされたものの、放浪の果てに死んでしまった父の影を自分にも感じて揺れる主人公が、自分に似た男と出会う話。主人公の最後の選択にほっとしたものの、それで良かったのかなと考えさせられました。
「海になる」の主人公は、不妊が原因でDVを受ける女性。主人公の夫が救いようのない人物でどうなることかと思いましたが、最後にまさかの人物が登場してくれて救われました。
いじめやDVなど、きついテーマを描いている作品もありますが、同じような苦しみを抱えている人に寄り添ってくれるような優しさを感じる本でした。

コメント

べる

これは本当に秀逸な連作集でしたね。一作ごとのクオリティが
素晴らしかったです。海の生物を題材にしているところも
ツボに来ました。
『52ヘルツ~』も素晴らしい作品なので、ぜひ!

KOR

>べるさん
「52ヘルツのクジラたち」予約しました。120人以上の待ちですが…(笑)。つらい話なんですけど、ミステリー要素やユーモアがあっておもしろかったですね。本屋大賞の結果も楽しみです。
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